土壌の理化学性,周辺植生による総合評価
現在,植生工の選定は土壌硬度,亀裂間隔,土質などの物理
性に主体がおかれています。しかし,斜面の物理性が同等で
あっても,化学性が著しく異なることで安定した植生回復が
図られない場合があります。そこで,タフグリーン工法研究
会では,事前調査において,
「土壌の理化学性,及び植生調
査」
を行うことにより,総合的に斜面を把握し,緑化目標の
選定をしています。
緑化目標・種子配合の設計
・pH(H
2
O)
・養分保持能力
・土壌養分濃度
など
化学性
物理性
・土壌硬度
・土質
・亀裂間隔
など
植生
・生育環境
・林内植生
・林縁植生
など
・
斜面の総合的把握
従来の植生工に期待される早期生育植物による表面侵
食防止効果を土壌侵食防止マットで代用しながら、森林土
壌に近い上質な基盤を導入することで、目標とする植物群
落への植生回復を安定して図る工法です。
タフグリーン工法の特徴
タフグリーン工法は,
森林土壌に近い植生基盤
を斜面に吹付けます。さらに侵食防止効果の高い
土壌侵食防
止マット
を植生基盤面に敷設する合併工法です。吹付時にはラス金網を用いず,
補強短繊維等
を植生基盤に混
合することで基盤の流出や流亡を防ぎます。
○
森林土壌に近い植生基盤
を使用しています
森林土壌は,有機物(落葉・落枝)が分解されてできる
腐植と粘土鉱物が結合したものです。
タフグリーン工法では,下記の資材を用いています。
a)腐植含有量の多い物質(腐植土) → 腐植の役割
b)浄水過程で生成されるリサイクル資材 → 粘土鉱物の役割
c)バーク系有機質基材 → 有機物の役割
これらにより,保水性・保肥性・緩衝能力の高い土壌を実現
しています。そのため,植生回復への妨げとなりやすい,
斜面
乾燥や肥料枯れを長期的に防止する
ことが可能です。
○
土壌侵食防止マット
を敷設する効果として
①植生が成立していない状況(
ex.
秋季及び冬季の植物
の発芽環境にない時期の施工,植生誘導や生育に時
間を要する郷土種を導入した場合)においても,激し
い降雨時の地表水や積雪に伴う
基盤の侵食を防止
します。
②マルチング効果により,植生基盤の保水力や保温効果が
期待できることから,
斜面乾燥や凍上から植物を保護す
る
ことが可能です。
③土壌侵食防止マットには
分解型と非分解型
があり,緑化
目標に応じて使い分けができます。
○
補強短繊維
を使用する効果として
①
基盤を面的・立体的に結合する
ことで,基盤の流出・
流亡を防止します。
②接合剤として
ECO
バインド(無機質ミネラル固化剤)
を併用する事で,施工時のリバウンド量を大幅に減少
させることが可能です。
<タフグリーン工法とは>
分解型マット 非分解型マット
森林土壌 模式図
補強短繊維
ECOバインド
有機物
粘土鉱物
腐植
土 壌